古き良き日本人の魅力~大好きな先生との別れで学んだ大事な事

日々の気づき

私は太極拳を10年間習っています。
人に言うと驚かれますが、太極拳の先生は御年93才のスーパーウーマンです。

でも最近、とてもショックな事がありました。
先生から、別れを告げられたのです。

出会いと別れはセットだと分かっていても、別れなど意識せず、いつまでも一緒に居てもらえる様な気がして、呑気に暮らしていた私でした。

御年93才のスーパーウーマン!太極拳の先生はこんな人

いつも穏やかだから器のデカさを感じる

先生の不機嫌な顔は見た事がありません。
先生はいつも落ち着いていて、穏やかに微笑んでいらっしゃいます。

地顔が笑顔寄りなのは、先生の人徳がにじみ出ているのだと思います。
1人でベンチに腰掛けていらっしゃる時も先生の機嫌の良さは伝わってきます。

自分で自分のご機嫌を取れるというのは素敵な事。
逆に不機嫌を振りまく人は、自分の心のコントロールが出来ない幼い人だと思います。

体調の悪い時でさえ、生徒たちの前ではいつも通りの笑顔で、自分の辛さは隠しておられた事を後になってから人づてに聞いた事もあります。

生徒たち全員が先生から愛されていると感じていた

太極拳の教室の始まる時間になっても、隅っこでお話に夢中になっている生徒がいる時、先生は準備を済ませて教室の前に立ち、私達が気づくのを静かに待っていらっしゃいました。
失礼な態度に対しても淡々とした態度を保てるのは、やはり人間的に大きいと思います。

先生は合計で80人の生徒を持たれていましたが、いつでも誰に対しても、優しい態度を変えることが無かったから、私達生徒は自分がとても大切にされている事を実感できました。

上品な話し方をされる先生ですが、時々はふざけたり、可愛い自虐ネタで生徒たちを笑わせて下さいました。
先生を尊敬しているから、先生の自虐ネタで余計に先生を好きになったと思います。

自分の努力を威張らない

年に一回、先生のお誕生会を生徒全員で開いていましたが、その時はいつもの太極拳の練習服ではなく、シックでお洒落な服とヒールの靴(90代で!)を履いて来られます。

年を取ると徐々に服装はどうでもいいや、と思う事が増えてきます。
私などは、靴も「歩きやすさが一番!」と言って運動靴一択です。

   

コロナ以降、マスクで顔が隠れるのを良い事に、ついついスッピンで出かけてしまう事も多々ありました。

先生はいつもお化粧をきちんとされていて、私は感嘆と共に「先生はすっぴんでお出かけになる事は無いんですか?」と聞くと、「朝起きたら必ずお化粧をする癖がついてるんですよ。」と仰います。

「私なんか、マスクするからもういいや~ってなっちゃいます。」と申し上げながら「もしかしたら先生は身だしなみは大事ですよ、って仰るかも」と予想していました。

けれど先生は「若い時はそれで良いんですよ。」と優しく言って下さいました。
先生!私は60才を超えております!!

もしも先生が「身だしなみは大切ですよ」と仰っても、私は「ホントだな」と思ったでしょう。
しかし先生がそんな事はひと言も仰らなかったから、余計に私の心に残り、「身だしなみには気を付けよう、ちょっとでも先生に近づけるように!」と思う事ができました。

自分の努力している事や良い習慣を威張るような事は決して口にされないから、余計に先生の様な人になりたいと思いました。

太極拳の最後の教室・・先生からの突然のお別れ

太極拳の教室は週に1回、毎回2時間です。
でも先日は1時間半ほどいつもの様に練習した後に先生が
「皆さん、ちょっと集まって下さい。」と言われました。

「?」と思いながら20人位の生徒が先生の前に座ると先生は
「今日で私がこの教室に来るのは最後です。」と仰ったのです。

みんなポカーンとしてしまいました。
先生が何十年も続けて来られたこの教室に来られないなんて、信じられません。

「すごく急速に進行する癌がお腹に見つかりました。お医者様は手術を勧めて下さったけど、以前の喉頭癌も再発してますし、私は手術をしない事に決めました。」

「余命は3か月だそうです。急で申し訳ないけど、いろいろと片づけておかなければならない事が有るし、今後毎回必ずは来れないと思うから、今日で最後にさせて下さい。」
そう仰るのです。

私達は静まり返り、後ろの方から鼻水をすすり上げる音が聞こえてきました。

私はあまりにも悲しかったり驚いたりした時、とりあえず笑ってしまうクセが有って、少し笑いそうになってしまいました。

そんな自分が情けなくて、今までいろんな事を笑いながら、自分の心を誤魔化しながら生きてきたな、みたいな事をボンヤリ考えたりしました。

誰とでも別れは必ずやってくる物なのに、いつでもいつまでも先生と会えると思っていました。

先生の教室は「介護予防太極拳」と言って、「いくつになっても自分の足で歩きましょう」という教室ですから、生徒には後期高齢者もたくさん居ます。

そういう生徒たちがみんな、先生の言葉にシクシク泣いて、教室の時間が終わっても先生の傍から離れる事が出来ないで、ぐずぐずと帰宅を引き延ばしていました。

「ほらほら、皆さん、泣かないで下さいよ。お家に帰る時の車の運転は気を付けるんですよ。」と先生は笑っていらっしゃいます。

私達は、安心して先生に甘えていたのだと思います。

60才が90才に甘えるなんて、なんだか可笑しいように思われるかも知れませんね。

先生を前にすると、自分が誰かのお母さんでも、誰かの妻でもなかった子供の頃に戻って、気楽で自由な気持ちがしていました。

そして、どんな時でも先生は穏やかに赦してくれて、決して私達を見捨てず傍に居てくれる、と安心しきっていたのでした。

別れが必ず有ると思うと今を大事にできる

一週間後の今日、言葉通り先生は教室に来られませんでした。
先生のいらっしゃらない教室は心棒がなくなったようにフワフワしていて、頼りない感じがしました。

私は本当にバカでした。
いつまでもずっとずっと、先生に教えて頂けるような気持ちでいたのです。
だから私は太極拳の時間を面倒だなとか、休んじゃおうかなとか、度々思っていました。

誰とでも必ず別れる時は来るのに、しかも先生は93才という御高齢なのに、せっかく先生と会える時間の大事さを実感できていませんでした。

もっともっと先生と会えている時間を大切にすべきでした。

そして先生の別れ方は鮮やかで、別れの時でさえ清々しい気付きを下さったのでした。

こんな人になりたい、こんな風に死んでいきたいと思える先生に出会えたのはとても幸運な事です。

先生の魅力で続いて来た教室だから、生徒は少しずつ減っていくかも知れません。
でも1日でも長く続いていけば良いなと思います。
それが先生の希望でしたから、私も自分が出来る事をやっていきます。

まとめ:古き良き日本人として先生が教えて下さった事

先生との別れによって、私がなぜ先生を好きだったか、私がどういう人になりたいのか、考える事が出来ました。

人間だから、先生にも建前と本音は有ったと思います。
きっと腹の立つような事、イライラするような事も有ったはずです。
でもそれを外に撒き散らさなかった先生は、古き良き日本人であられたのだなと思います。

先生との別れの経験から、自分が忘れたくないと思う事をまとめてみました。

  • その人の人間性はその人の言葉遣いや行動に現れる。
  • 自分で自分の機嫌を取れるのは成熟した人。
  • 人に上からモノを言うのは簡単だけど、その言葉は言われた方の心には残らない。
  • 口で人を言い負かすのは人間性としては負ける事。
  • 自分の努力とか価値とかを自分の口から出した途端、その人の魅力は半減する
  • そしてもう1つ。
    出会いと別れは必ずセットになっているという事。

今のご時世は自分の心に嘘をつかないで、自分らしく正直に生きるのが良いとされていますから、私が先生を尊敬する所が現代に通用するかどうかは、よく分かりません。

それでも、私は先生が態度で教えて下さったことを忘れない様にして、少しでも先生に近づけていけたら良いなと思っています。

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