お仏壇に造花はNG?お盆に考える生花を供える本当の意味と仏花マナー

日々の気づき

お盆の季節になると、実家に帰って仏壇の前で手を合わせる機会も多いものです。
お線香の香りに包まれて故人やご先祖さまと向き合うと、何か懐かしく心落ち着く気持ちがする人もいらっしゃるでしょう。

お家に仏壇を持っていらっしゃる方ですと、お盆の時期に気になるのがお供えのお花です。

エアコンをかけていなければお家の中であっても灼熱地獄。お花も三、四日で萎れてしまいます。

「この時期だけは造花でも良いんじゃないの?
お願い!誰か良いと言って!」

わかります!その気持ち。
お買い物に行くのさえ、勇気がいる位の暑さですもんね。

それでも…

仏壇にお供えするのは生花が良いのです。

生花を仏壇に供えるのにはどういう意味があるのか、お伝えしていきたいと思います。

お仏壇の3つの役割

お仏壇にお花を供える理由の前に、まずお仏壇とは何なんでしょう?

私はお仏壇の無い家に育ちました。
幼い頃からお仏壇との関わりは、おばあちゃんの家に行った時に、促されてお線香をあげる位。気持ちとしては「昔の人達こんにちはー」という感じでした。

何となくご先祖様達のお部屋かな?と思っていましたが、お仏壇の役目については考えた事はありませんでした。

お仏壇には3つの役割があります。

役割1.お墓の遥拝所

お墓を大切にしたい気持ちはあるけど、暑い日も寒い日も雨の日も雪の日もある。だから毎日お墓にお参りする代わりにお仏壇を拝むのです。

役割2.ご先祖様を迎える場所

善男善女は天国か、極楽か、お浄土か、とにかく普段はあの世にいらっしゃるけれど、私たち子孫のために、あの世から降りてきてくださいます。その時の居場所がお仏壇やお墓なのです。

役割3.お寺の本堂の縮図

毎日でも如来さまにお経を唱えたいと思う人もいらっしゃるかもしれません。昔の日本ではそういう信心深さを持つ人も多かったはずです。お仏壇はお寺の本堂の替わりとしてお参りできるように、御寺の本堂に似せて作ってあります。

お仏壇にお花をお供えする理由は、特に役割2に関係しています。

なぜ仏壇に生花を供えるのか?|眷属と祈りのつながり

各地によって風習は違いますが、お盆にはご先祖様に帰ってきてもらうために胡瓜で作った馬を用意するところが多いですね。

そしてお盆が終わり、再びご先祖様があの世にお帰りになる時の為に、ナスで作った牛を準備します。

つまり、ご先祖様は自力で帰って来られるのではなく、何か乗り物に乗って帰って来られると昔の人は考えたのです。

私は思うのですが、昔は現代よりもずっとご先祖様の存在やあの世のことを近しく感じ、実際分かっていたのではないでしょうか?

ご先祖様は何かに乗せて貰ったり連れてきて貰ったりして、帰って来られるという事が分かっていたのかもしれないと思います。

ご先祖様はお仏壇に座られますが、連れて来てくれた何か(眷属と言います)はどこでご先祖様を待つのでしょう?
それが生花です。

つまり、ご先祖様を連れて来てくれた眷属の座として、生花を供えているという事。

仏教にはいろんな宗派が有りますが、お花を供えない宗派を私は知りません。

仏花が造花やプリザードフラワーだとダメな理由

「では、その眷属の座は造花でもかまわないんじゃないの?イマドキの造花は生花に負けない位綺麗なんだから」

そう思われた方もいらっしゃるでしょう。もちろん美しい造花を飾ることが悪いという訳ではありませんが、造花では眷属が自分の「座」として認識する事が出来ないのです。

「何故ですか?」と尋ねられれば「眷属はそういうものだから」としかお応えの仕様が無いのですが・・・。

例えば私たちがお腹が減っている時に、どんなに精巧に出来た美しい食品サンプルを貰っても食べることができないのと一緒、と考えてみても良いかも知れません。

(もしもお腹の空いた私だったら心の中で「馬鹿にしとんのかー!!」と毒づくと思います。間違いない!)

眷属が飾られた造花を見て腹を立てるとは思いませんが、それでも自分の座が無くてウロウロと途方に暮れてしまうということはあるかも、と思います。

せっかくご先祖様をあの世からお仏壇まで連れて来てくれたのに。それにご先祖様があの世に変える時には、また連れて帰ってくれるのに・・・。

生花のもう1つの役割

もう1つ、生花の良い所は私達に時間の流れを身を挺して教えてくれるところです。

膨らんだ蕾が満開になり、そして静かに色褪せて散っていく様子を見て、誰も逃れる事の出来ない時間の流れの中で自分達は生きているという事を何度も何度も教えてくれます。

蕾の時には私達に小さな期待と楽しみをくれ、花開いた時にはその美しさと香りで私達を癒し、枯れる時でさえ時間の流れを教えてくれる花は、本当に優しい存在だと思います。

仏壇に供えるお花は、ただの飾りではありません。

お仏壇に供える仏花は難しく考えなくて大丈夫

とは言え、すぐにお花が痛んでしまう季節にお花を供え続けるのは正直大変な事も有ります。

仏花と言ってイメージするのは菊ですし、スーパーに並んでいるお仏壇用のお花も白・黄・赤紫の小菊がセットになっていますね。

おまけにお仏壇の花瓶はたいがい2個対になっていて、2束必要な気がして来ます。

でもお仏壇の花瓶は1つでも充分。
お花もたった1本でも良いし、種類も何でも良いのです。
お庭に咲いているお花でも良いのですよ。

眷属は「菊なら座るけど、日日草なんか座らない!」とは言いません。

仏花として売られているのが菊なのは、菊が長持ちするし香りが清々しいからではないかと思います。私たちも見慣れていますしね。

大事なのは眷属が「生花」として認識出来る事。

お仏壇の花瓶を夏の間は手軽な一輪挿しに変えてみる、という手もありますよ。

毎朝の水やりの時ついでに小さな一輪の花を摘んで、涼やかなガラスの一輪挿しに差し「可愛いお花が咲きましたよ~」とご先祖様にご報告がてらお供えするのも良いと思います。

まとめ|造花ではダメなの?という疑問への答え

造花を飾ること自体がいけないわけではありませんが、「眷属の座」としては、生花でなければその役目を果たせないのです。

  • 花瓶は1つでも良い。
  • お花は1本でも良い。
  • お花の種類は何でも良い。
  • ただ、生花でなければ眷属にとって意味が無い。

上等なプリザーブドフラワーを飾って、それを見る生きている我々が楽しい気持ちでご先祖様を拝むのは良い事だと思います。ただ、眷属の為に、お仏壇の傍の分かりやすい所に、必ず生花を生けておきましょう。

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